この国のリーダー

昨日ティンプーの本屋さんで、素敵な本に出会いました。



 「Gross Nartional Happiness of Bhutan」 

ブータンの写真集なのですが、Happinessにまつわる、この国のキーパーソンたちの言葉が紹介されています。


Happinessといっても、いまいち何を目指しているのかわからないなぁ、と正直思うところもあったのですが、


GNHを提唱した先代国王や、いまの国王、それにダライラマやそのほか高僧などが語る、Happinessにまつわる考え方をみていると、


そうか、自分はこの国の幸せにまつわる考え方について、本当に浅はかな理解しかないんだなぁ、と感じさせられます。


短い言葉たちなのですが、身に染みるので、折に触れてご紹介したいと思います。






で、今日は、いまの国王の言葉をご紹介。


でもこれは、Happinessについてというより、この王様の、リーダーとしてのあり方についての言葉です。


ちなみに彼は、まだ30歳。(そしてさらにちなみに、独身)


その若さで、これだけユニークな国の、こんな変革の時期に王位についた、国王。


その人の国民に向けた言葉です。





"I have no personal goals, I will adopt your aspirations as my own and work towards fufilling them. Therefore, you must have big ambitions and hopes for our country"
His Majesty Jigme Khesar Namgyel Wangchuck



あまりうまくはないのですが、あえて訳すとこのような感じでしょうか。







「私には、自分のための目標はありません。私は、あなたの夢を自分の夢とし、それが叶うように働きます。なのでみなさんは、この国に対して、大きな志と希望を、持っていなくてはなりません」





この言葉が言えるようになるには、どれだけの思考と覚悟が必要なのだろう。


民に仕えて、国を導く。


はっとして、しばらくこの文字を眺めていました。





GNHというビジョンを自分の父親である先代国王が提唱し、それがこの国の指針として広まった。


さらに政治は、国王主導で絶対王政から立憲君主制に移行し、国王の役割は大きく変化した。


そうした歴史の中で生まれた、今の国王。






世界には、あらゆる種類のリーダーシップの形がある。


時には夢やビジョンを示すことが、リーダーに求められる役割であることもある。


そのビジョンにむかって大勢を束ね、強く引っ張っていくことが、リーダーに求められる役割であることもある。


ときにより、場所により、目指すものにより、必要なリーダーシップのあり方は異なるのだろう。


リーダーシップの形のよしあしについて、あれこれ言うことはできないけれども。




この国王が、王位につくまでの経緯と今の国の形を思い、


この言葉を、国民の前で言うことに必要な覚悟を思い、


そしてこれを言った国王が、自分と対して歳も変わらぬ人であることも思い、


深く深く、読みました。



そんなブータンへの行き方はこちら