モノがない東京、モノがあるティンプー
私は、ブータンではもっとも物質的に豊かな、首都のティンプーで暮らしている。
いまだ地方では電気がなく自給自足の村もあるブータンでは、
もうティンプーは「夢の町」である。
なんでもある!!
接続は不安定だけどネットはあるし、よく停電するけれど電気はあるし、
野菜もあるし、肉もある。
エアコンはほとんどないけど、小さなヒーターなら家電屋さんで買える。
スーパーではシャンプーもはみがきこも売っている。
なんだってあるよ!
飲みに行くと、よくおじちゃんたちなどはこのティンプーの様相について、
「ティンプーはモノに恵まれすぎている」
「若者の物質欲をかき立ててしまう」
などの不安を口にする。
そっかぁ。
ところで、私はチョコレートが好きです。
疲れたときなど、無性に食べたくなるし、おやつにつまむのも好き。
でもブータンでは、なかなかおいしいチョコレートが手に入らない。
おいしい、というのは、とびきり高級でおいしい、という意味ではないのです。
イメージ、日本のキットカットレベル、Meijiの板チョコレベルのクオリティがあればいい。
でもそんなチョコレートは、手に入らない。
どれも、マイルドさのかけらもない。
同じキットカットでも、なんというか、パッサパサでカチカチで、買ったその日から白い粉が吹いている。
はぁ、おいしいチョコレートが食べたい。
でもないから、今日のおやつは、ジャガイモにしよーっと♪
と、ひとりごとを言っていたところ、来週からブータンにいらっしゃる東京の知人の方が、
親切に言ってくださった。
「あ、じゃぁチョコレート持っていきますよ」
いやいやいやいや。
ブータンから毎日ネットで日本の様子を見ているけれど、東京は買い占めによる物資不足で大変な様子。
むしろ、東京でモノがなくなっているみたいだけど大丈夫かなぁ、と心配していたところ。
そんなところから、ブータンといえどモノにあふれたティンプーに、
なにか持ってきてもらうなんてとんでもない。
いやいや、結構です。どうぞご無理せず。
とお伝えしたところ、ブータンに度々いらしたことのあるその方は、さわやかにおっしゃった。
「いえいえ、東京はモノがないとはいえ、ティンプーよりはずっとありますよ」
・・・・ガーン。
なんか、東京のことをすっごく心配してたのだけど、
かつ、「ティンプーとか最近モノがあふれちゃってるし」とか懸念してたのだけど、
ティンプーの方がぜんぜんモノがないのか。。。。
そっか。。。。
なんか、、ショック。
こちらでは、冬はエアコンなくて寒いし(大家族の大きな家で小さなヒーターひとつ、とか。ヒーターない家も多い)、
冬はよく電気も切れるし(まっくらになるのでロウソクを持ち出す)、
チョコレートも粉吹いたキットカットがたまにあるだけだけれど、
みんなそれで不足なく、ご機嫌に暮らしている。
むしろ、モノが増えすぎてることが懸念されている。
モノがある、モノがない、という感覚は、
その人の経験の中での比較、という要素が強いのかもしれないですね。
そんなことを思いながら、今日もおやつにジャガイモを食べました。
はぁ、ジャガイモおいし♪